箱根登山鉄道 / Kentaro Ohno
神奈川県の箱根には、芦ノ湖から富士山を見ることが出来ます。年間2000万人が観光に訪れる日本屈指の温泉地でもあります。
カンブリア宮殿では、小田急電鉄のロマンスカー箱根戦略にスポットを当てました!小田急電鉄会長の“山木利満(やまきとしみつ)”さんが、その魅力を語ります。
箱根グルメ&新スポット
箱根の大涌谷名物“黒ソフト”は、竹炭で着色して溶岩をイメージしたソフトクリームです。見た目は美味しそうに感じないけれど人気です。
「ベーカリー&テーブル 箱根」では、焼き立てのパンが食べることが出来ます。“米粉のカレーパン”は、ゆで卵が1コ入っています。
テラス席では、足湯につかりながらパンを食べます。箱根の新名所です!
「茶屋本陣 畔屋」は、小田原市の老舗が集まった商店街です。明治に創業した“しいの”では、おつまみや珍味が並んでいます。ご飯と一緒に試食することも出来ます。
“鈴廣”では、魚のすり身で作ったタコ焼きが売っています。フワフワ食感のかまぼこタコ焼きが楽しめます。
「箱根湯寮」は、貸切で使える日帰り露天風呂です。2人部屋で1時間3,900円から利用出来ます。
小田急電鉄とは
小田急電鉄は、新宿駅を起点に年間7億人の足を支えています。売上高は5200憶円の大企業です。その中でも“ロマンスカーで結ぶ箱根戦略”を重視して来ました。
ロマンスカーは、箱根にお客さまを運ぶために作られました。他にはない眺望を楽しんでもらうために車両開発をしてきました。
先頭車両にある展望席は、子どもたちにも大人気です。運転手は、展望席がある2階で運転をしています。
小田急電鉄は、箱根に10年間で200憶円の投資をしています。窓を大きくした登山電車「新型アングレラ号」や最新式ロープウェイなど作りました。
箱根ゴールデンコース
関東の私鉄の多くは、それぞれの沿線に行楽地を抱えています。京王電鉄は高尾山、西武鉄道は秩父、頭部鉄道は日光・鬼怒川温泉、そして小田急電鉄は箱根です。
その中でも箱根の人気は群を抜いています。箱根に行くだけで楽しい“乗り物エンターテイメント作戦”で多くの人を集めています。
特急ロマンスカー
小田急特急ロマンスカー LSE / Richard, enjoy my life!
「特急ロマンスカー」には、展望席があります。富士山や桜並木など景色を遮るものは何もありません!
1935年に新宿と小田急をノンストップで運行する「週末温泉特急」として運転をスタートしました。2008年には地下鉄への乗り入れも開始しました。
箱根登山電車
新宿から1時間半でロマンスカーの終点である「箱根湯本駅」に着きます。箱根湯本駅のとなりには、「箱根登山電車」のホームがあります。
箱根登山電車には、「箱根フリーパス」のチケットを買って乗ります。4000円で2日間使えるフリーパスチケットです。
箱根登山電車は、終点まで高低差450メートルをスイッチバック方式で進みます。進行方向を変えながらジグザグに登ってゆきます。
箱根ケーブルカー
終点は「強羅駅」、そのとなりには「箱根ケーブルカー」があります。わずか1kmの距離ですが歩くと30分はかかります。ケーブルカーにのれば10分で着きます。
箱根ロープウェイ
箱根ケーブルカーを降りると「早雲山駅」に着きます。そのとなりには、「箱根ロープウェイ」があります。
富士山の絶景と大涌谷の噴煙を見ながら空中散歩を楽しめます。
海賊船
箱根ロープウェイの終点には、芦ノ湖があります。「箱根海賊船」に乗り込んで絶景を堪能します。
「海賊船」は、昭和30年から運行しています。当時の社長がアメリカのディズニーランドからヒントを得て作られました。
いくつもの乗り物で箱根を周遊するゴールデンコースは、小田急が作り上げたモノです。箱根は“絶景と乗り物のテーマパーク”です。
なぜ箱根は人気なのか?
箱根は、都心からいちばん近い“国立公園”で自然があります。それから富士山の眺望と温泉です。日本には温泉の泉質が11あって、そのうちの8つが箱根にあります。
ロマンスカー小田急のシンボル
ロマンスカーは小田急のシンボルです。戦前からあったが“新宿から小田原まで60分で走らせる新しい特急を作りたい”
創業者の“常に新しいモノを作っていきたい”という思いがあった。
箱根 富士屋ホテル
「箱根 富士屋ホテル」の創業は明治11年です。チャップリンやヘレン・ケラーなど伝説の著名人が宿泊しています。
“富士屋ホテルピコット”には、多くの著名人が親しんだアップルパイがあります。1915年から受け継ぐレシピを使っています。
歴代の投手は、海外のお客さんを受け入れるために色々なことをやり続けてきた。常に何かをやり続けているのが富士屋ホテルです。
箱根ホテル小涌園
1959年に開業した箱根ホテル小涌園」には、三井家の別荘から譲り受けた庭園があります。2018年の1月には営業を終了してしまいます。
その理由とは、「箱根小涌園 天悠(てんゆう)」が作られたことにあります。まるでマンションのような作りの旅館には150室もの部屋があります。
全客室150には、露天風呂が付いています。1泊2食付きで3万3000円からになります。
箱根山戦争とは
1930年頃の箱根は、富裕層の別荘地でした。現在のような交通もなく不便な場所でした。1950年代になるとバス路線がスタートします。
小田急系の箱根登山鉄道と西部傘下の「伊豆箱根鉄道」は、箱根のバス事業を争って正面衝突してしまいます。
西武が作った専用自動車道路は、関所を設けて“他のバスを通させない”と訴訟問題にまでなります。これは箱根山戦争とまで言われました。
1960年には、バスが通れないならと小田急がロープウェイを開業します。西武との争いに終止符が打たれます。
乗車率229%を回避する“複々線”とは
小田急の沿線には、大規模団地が昭和30年~40年にかけて一気に増えました。20年間では、100万人の人口が増えました。
1年の平均で言うと5万人ずつ増えました。お客様を運ぶために車両の長さを変えたり、車両の数を増やしたりしました。
それでも混雑率は229%まで行きました。限界が来たので“複々線”を作る方針にしました。複々線とは、線路の下に線路を作って下を特急が通ります。
小田急の鉄道収入が600憶円程度のとき、“複々線”には約2500憶円もかかります。利用するお客様の利便性を考えた大切な決断でした。
100万人殺到!箱根のヒミツ
外国人が集まる「ナラヤカフェ」は、足湯のお店です。釜で焼いたマルゲリータや世界各地のお酒が飲めます。箱根には、年間100万人以上の外国人観光客が訪れます。
小田急では、新宿駅に外国人専用の案内所があります。様々な国の言語が話せるスタッフが丁寧に答えてくれます。
小田急の挑戦!
タイ・バンコクに小田急の事務所を開設しました。現地の旅行代理店とパイプを作って箱根を売り込む作戦です。
新宿に来る外国人の構成を見てみると中国・台湾・香港の次にタイの人が多くいます。バンコクを拠点に東南アジアに力を入れて行くことになりました。
ロマンスカーに乗ってゴールデンコースを回る。富士山を見て温泉に行く、それだけではなく日本の文化にも触れて欲しいと願っています。
編集後記
空の便も新幹線も充分に整備されていない時代、地方の人々にとって、箱根は遠い憧れの地だった。
「ロマンスカー」という名称は、九州西端に住む少年にとって、艶めかしく、幸福なイメージをかきたてた。
近年、インバウンドの観光客にも人気が高く、以前より身近になったが、富士を仰ぎ、峻険な峠が続き、静謐な湖に囲まれ、彼方に海を望むという、その多様な魅力は変わることがない。
観光地として懐が深く、幅も広い。だから高級リゾートでもあり、庶民の行楽地の代表でもある。
箱根は、大自然との共生の歴史そのものかもしれない。
永却不変の観光地・・・村上龍・・・
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