カンブリア宮殿|築230年古民家宿で“古き良き暮らし”を体験する阿部家とは

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島根県の石見銀山にある「群言堂」は、日本の古き良き暮らしを今に活かした商品を提案しています。手作りの感じが他の店にはないと人気があります。

8月18日(木)の「カンブリア宮殿」では、群言堂を経営する『石見銀山生活文化研究所』の“松場大吉(まつばだいきち)、登美(とみ)”さん夫妻が登場しました!

神奈川の注目スポット「湘南T-SITE」

神奈川県藤沢市にできた新スポット「湘南T-SITE」は、蔦屋が展開する新しいタイプの書店です。お店の特徴は、書籍と関連する商品が同居しているところです。

ワインの本の横にはワインが置いてあります。男性雑誌のコーナーの奥にはアウトドアグッズが置いてあります。

ライフスタイル関連のコーナーの奥には、スローライフを提案する『群言堂』があります。お店の主力商品は婦人服です。

滋賀県で600年続いている「近江麻」を使ったロングブラウスや「ろうけつ染め」のワンピースなどを扱っています。

スローライフを提案する群言堂とは

島根県にある石見銀山は、出雲空港から1時間半ほどかかります。小さな集落には、人口408人が生活しています。

電線を地中に埋めてあるため昔にタイムスリップしたような世界観が広がります。そのメインストリートに「群言堂」はあります。

お店は、築150年の庄屋屋敷を改装して作られています。婦人服の他にも調味料やたわしなども売っています。

屋敷の一部にはカフェになっています。人気のメニューは「里山おむすび」で、おむすび3コとおかず、みそ汁がついて700円と手頃な値段で人気です。

「群言堂」は、商品や店づくりのこだわりが受けて、全国で31店舗を展開しています。

石見銀山生活文化研究所

『石見銀山生活文化研究所』は、群言堂の本社です。創業は1988年で従業員の数は150人です。順調に売り上げを伸ばして、2014年には年商20憶円になりました。

茅葺の屋根が付く家では、従業員の休憩スペースになっています。縁側で食べる昼食は、“毎日がピクニックのよう”と言います。

どんな会社なのか?

よく“謎の会社”と言われるんですけど、私としては暮らしをデザインしている。暮らす楽しさを、この石見銀山を通して提案している

企業理念の中にある「復古創新」とあります。“日本の古くよきものから学び新しい物を想像する”という意味です。

名前の由来とは?

「研究所」とすれば何にでもなっていく、「生活文化」ならあらゆる業種業態に対応できる。幅の広い商売ができると思って名付けた。

消えゆく生地作りを今に生かす 婦人服

石見銀山生活文化研究所のメインは、婦人服です。そのリーダーが松場登美さんです。こだわっているのは素材、消えゆく生地作りを今に生かす事です。

大正時代に新潟県で考案された「マンガン絣」は、糸をマンガン鉱石からとった染料で染めています。旧式の織機は、ゆっくりではあるが空気を含んだ柔らかい風合いを出します。

 旅館 他郷阿部家

「他郷阿部家」、築230年の武家屋敷を改装して作った宿泊施設です。台所には、かまどや竹かごが並んでいます。

1日3組限定の旅館は、1泊2食付きで2万4,000円です。夕食は、宿泊客がみんなで登美さんと一緒に食べます。地元の食材を使って旬を活かした料理を心がけています。

土鍋で炊いたご飯で作るおむすびも登場!これには、こだわりが詰まっています。

母の“おむすび”が一番おいしかった。家族の体調や好みを考えて、お母さんは作ってくれる。

気持ちのこもった料理を出したいと思った時に“おむすび”だと思ったんですね。

夕食のメインは、この町の日々の暮らしを登美さんが語ることにありました。宿の雰囲気と登美さんの話に癒されてリピーターも多いんだそうです。

 群言堂が支持される理由とは?

石見銀山 五百羅漢の入り口
石見銀山 五百羅漢の入り口 / houroumono

「群言堂」人気は社会の変化と関係がある!

物だけの時代ではなくなった。商品の背景にある社会の考えや作るプロセスが社会にとっていいかどうか、しっかり目を向ける時代になってきている。

私たちは常に“非効率”なことを大事にしてきた。スローライフと紹介されたが、スローとはゆっくりという意味ではなく、非効率なことを大事にすることがスローなことだと思う。

 

 旅館 他郷阿部家で採算はとれるのか?

古民家宿「阿部家」は儲かるのか?

利益はでない、9年間やってきたがまだ赤字です。お金を財産と考えれば貧乏だが、人の出会いを財産と考えれば大変な財産を手に入れたと思う。あの暮らしがあるから元気が出る。

宿泊施設にしようと思った理由は?

日本の生活文化の美しさや豊かさをいろいろな人に伝えたいと思った。料理や温泉ではなく、日本の死活文化を実家に帰ったように体験してもらえる宿にしたかった。

どんな暮らしを伝えたいのか?

ご年配の方に「夏には蚊帳を吊る」と話したら、「孫が経験したことがないから今度、孫を連れてきます」とか、夏に裏庭で線香花火をしたり蛍を見に行ったり、みんなが忘れてきたことを思い出してもらいたい!

次の世代に技術を継承していく

旅館阿部家の屋根を支える太い木材は、よく見ると木が継いである。これは、腐った部分だけを切り取り新しい木材を継ぎ足す「根継ぎ」です。高度の技術が必要です。

これをやらなければ次の世代に大切なものが残らない。「根継ぎ」を見てまた学ぶ。

改修する職人が「昔はこんな技術があった」と学ぶんですね、物を残すだけではなく次の世代に残せるのは、大事に技術や精神だと思う

古民家レストラン

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P7094568 / yuen yan

東京の西荻窪の「Re:gendo」は、古民家レストランです。石見銀山生活文化研究所が“日本の古き良き暮らし”を東京でも伝えたいと5年前に開きました。

人気メニューは、むすび膳1,500円(税別)です。料理の他にも、レトロな感じが人気なんです。

レトロ感は、小学校の階段や友禅染の型板、廃線なった鉄道のレールなどを使っています。島根の廃材を再利用しています。

都会は「捨てていく文化」それを粗大ゴミの日に見た。都会は次から次に時代を追って便利で効率的な方へ行く。消費主義社会のように感じた。

都会では何も残さずに更地にして家が変わっていく。私たち地方では、都会がそういう生き方なら、逆に古民家を大切に残しながら、これを資源として都会の人に来てもらう。

都会が消費主義社会であれば、私たちはそれを拾って補う。「拾う文化」と「補う文化」があって、初めて都会と田舎の関係が結ばれる。、

ふたりの出会いから今日まで

となりに住む学生さん

アパートでひとり暮らしをしているときに、下着を盗まれる被害に遭いました。となりに住む学生が怪しいのではないか?

それが、大吉さんとの出会いでした。同棲生活がスタートします。

結婚から故郷のもどるまで

1975年に子供が出来て結婚します。大学を卒業して就職するも貧乏な生活が続きます。家財道具は、捨てられたものを拾って使いました。

捨てられたものを見ては時代の変化を感じたと言います。

1981年に大吉さんの故郷の「石見銀山」に戻ります。エプロンやお弁当袋などの生活雑貨を行商で売ります。

1994年にアパレルブランド「群言堂」を立ち上げます。

“私たちは、石見銀山を愛し、この地に根を下ろしたものづくりをしてゆきたいと考えています”タグについた文字に思いが込められています。

古民家の再生

建物は、一般の商品とちがって、いろいろな人生や物語を含んでいる。何か一つでもいいから、小さなことでもいいから全てをゼロにせずに何らかの形で残していく。

築230年の武家屋敷を改装して「旅館 他郷阿部家」を作りました。他にも空き家を買い取り、店舗や社員寮に改装しました。これまでに11軒の空き家を改装してきました。

コンビニ・カラオケ・居酒屋もない

コンビニや居酒屋もない石見銀山に若者が移住してきます。「火曜会」は、毎週行われる1品持ち寄りの飲み会です。

コンビニやカラオケ、居酒屋もない街だからの楽しい飲み会です。

夏の演奏会

毎年夏には演奏会が開かれます。18年前に立命館大学の学生に宿を貸したことがきっかけになりました。地元の人たちは、とっても楽しみにしています。

学生たちは、田舎暮らしを体験できる楽しみがあります。

田舎というのは、出会いの縁が深まって、親戚付き合いのようなつながりが昔コミュニティ―のあり方だと思う。それを含めて継承していきたいと思います。

村上龍 編集後記

ご夫妻には、独特の雰囲気があった。単に「中がいい」でもなく、「同士」みたいな堅苦しさもない。

きっと信頼があって、お互いに自立しいるんだろうなと思った。信頼と自立は、まだ日本社会では夫婦や家族、組織やコミュニティのベースとなり得ていない。

お二人の活動、ビジネスは、「ロハス」という枠では捉えきれない。「古民家再生」への情熱は強烈で、何かと闘っている印象があった。

岩見銀山生活文化研究所は、古き良きものを守り、再生するためには、ときに現状を打破し、闘わなければいけないという真実を象徴している。

自然で、穏やかな闘い・・・村上龍・・・