日本京都_鴨川北段_出町柳~河原町.31 / KeikoS.ryoko
大阪迎賓館は、お花見スポット大阪城西の丸庭園の中にあります。2016年予約制のレストランとしてリニューアルしました。
カンブリア宮殿では、使われなくなった歴史的な建物を再生する「バリューマネジメント」の“他力野淳(たりきのじゅん)”さんが登場しました。
バリューマネジメントとは
「バリューマネジメント」は、大阪の梅田にあるオフィスタワーの高層階にあります。設立12年目で従業員は540人います。急成長をしているベンチャー企業です。
歴史的に価値のある建物をホテルやレストランに再生して、後世に残すことを目的としています。
古い建物は非日常な空間であることは間違いない、記憶に残る場所になった時に人はまた記憶に残る場所に行くから利用者がどんどん増える。
大阪迎賓館
大阪にある「大阪迎賓館」は、1995年のAPEC国際会議のために作られた建物です。京都にある二条城白書院がモデルになっています。建設費は10憶円かかりました。
2016年5月に予約制のレストランとしてリニューアルしました。創作ランチは1万円からのコースメニューです。大きな窓ガラスからは、桜の花を見ることが出来ます。
鮒鶴京都鴨川リゾート
京都にある「鮒鶴京都鴨川リゾート」は、京都エリアの結婚式ランキングで3年連続1位を獲得しています。文化庁の有形文化財に指定されています。
明治2年に創業した料亭旅館「鮒鶴」は、145年の歴史があります。宿泊施設や宴会場として人気がありました。バブルの崩壊とともに経営難になります。
歴史ある外観や手動式のエレベーター、天井画には7匹の鯉が泳いでいるように見えます。その姿を残したままウェディング場として生まれ変わりました。
オーベルジュ富岡1925
「オーベルジュ富岡1925」は、レストランと宿泊施設があります。昭和初期に建てられた兵庫縣農工銀行をリニューアルされています。
吹き抜けのある銀行のロビーは、オシャレなレストランになりました。事務室は壁や床は当時のままで客室に生まれ変わりました。
竹田城 城下町ホテルEN
DSC_1400 / smashmedia
「竹田城 城下町ホテルEN」は、落ち着いた雰囲気の人気があるホテルです。築120年の木村酒造場の柱を生かしてあります。
酒蔵は柱と梁を残して、ステキなレストランに変貌しました。
篠山城下町ホテルNIPPONIA
「篠山城下町ホテルNIPPONIA」は、築100年の古民家を再生しました。フロントとは別の棟に宿泊します。
昔ながらの風情を残しながら、静かでゆったりと過ごせる空間に作り上げています。祖父母の家に帰ってきたような感覚があります。
夕食は、地元の食材を使った創作フレンチが登場します。1泊2食付きで2万5,000円から宿泊することが出来ます。
篠山城跡の近くに4戸の空き家をホテルに改修しました。30戸まで拡大する予定です。良い宿が増えれば観光客が増えて町は活性化します。
劇的!再生ビジネス
バリューマネジメントでは、9つの歴史的建物を再活用しています。売り上げは右肩上がりで昨年は55憶円を突破しました。
古民家再生の仕組みとは、古くなり使わなくなった古民家をバリューマネジメントが改修します。レストランやスタッフを送り運営します。
古民家のオーナーには、売り上げから家賃として支払われます。オーナー・バリューマネジメント・お客さん三方よしのビジネスです。
歴史的建物を有効利用する基準とは
1つ目は建物、古ければ古いほどいい!建物は造った瞬間から価値は下がります。古い建物だから価値は0円、逆張りで古くなればなるほど貴重建物の希少性が高くなります。
2つ目は経済性です。アクセスと人口の2つを掛け合わせで成り立っていきます。人がこないところに人を逆流させる。
3つ目は誰と組むかです。オーナーの思いや自治体が志しているところ、町の人々や金融機関の人の思いなどが大切です。
他力野淳(たりきのじゅん)とは
他力野さんは、1973年に生まれて神戸で育ちました。少年時代は歴史が好きで、趣味は神社や城めぐりをしました。
大学3年生の時に阪神・淡路の震災にあいます。がれきの山になった神戸の街、その中に壊れずに残っていた古い建物を見つけます。
“歴史ある建物を未来に残したい!”、壊滅的な神戸の街を見て思います。神戸の息づく文化を取り戻すための戦いが始まります。
1996年リクルートに入社してビジネススキルを身につけます。ウェディング雑誌などを担当します。
2005年に「バリューマネジメント」を設立します。神戸市須磨区にある「神戸迎賓館(旧西尾邸)」は、独立して最初に手掛けた歴史的建造物です。
神戸迎賓館(旧西尾邸)
1919年に造られた神戸迎賓館は、兵庫県の重要文化財に指定されています。今では人気の結婚式場になっています。
結婚式場の改修費は8憶円になりました。ところが、オープンの2ヵ月前に資金集めをお願いしていた会社に逃げ出されてしまいます。
この時すでに50組の予約が入っていました。お客様とスタッフ20人に謝罪することになります。結婚式と言う晴れの舞台にあってはならない事件です。
その後、資金集めに翻弄しながらも1年遅れてオープンすることが出来ます。今では関西に若いカップルにとって憧れの結婚式場になりました。
西尾邸は、じつは解体の危機にありました。それを救ったのがバリューマネジメントです。今ではバリューマネジメントが運営する施設の稼ぎ頭でもあります。
働きがいのある会社
バリューマネジメントは、“働きがいのある会社”ランキングで2年連続の2位を獲得しています。仕事に誇りが持てる、トップが信頼できるなどが評価されました。
佐藤智介さんは、25歳の若さでホテルの支配人に選ばれました。
人の成長や可能性が見える瞬間を何度も感じられる。まだ入社して1年もたっていないが、そこが一番の働きがいの要因ではないか。
松尾諒介さんは、27歳の若さで鮒鶴京都鴨川リゾートの支配人です。
与えられる立場じゃなくて作っていく立場、自分で切り開いていく大人の青春をしているのは感じる。
人がすべての基盤
1人1人が持っている時間は24時間で、働いている時間は8時間です。その中でスキルの高い人のパフォーマンスはすごいが背賛成が3倍や5倍にはなりづらい。
私たちは研究開発で世の中にないものをつくるというビジネスモデルではない。チームであり総合力でつくっていく。
ギンザシックス
4月20日にオープンする「ギンザシックス」は、東京の銀座にあった松坂屋の跡地に出来ます。地上13階で地下6階、フロアの広さは東京ドーム3コ分あります。
銀座最大級の商業施設には、241のブランド店や能楽堂などが入ります。能楽堂は、日本文化発祥の拠点を目指します。
最上階のフロアには、バリューマネジメントが企画・運営するレストランが入ります。新しい建物にゼロから手を入れるのは初めての事です。
地方の食文化を発信する
和をテーマにしたレストランでは、北海道から沖縄までの絶品料理を提供します。
ここで日本各地域の食文化を発信したい。食文化できっかけをつくり現地へ足を運んでもらい、地方を活性化させる流れをつくりたい!
結婚式場や天空レストラン
最上階には銀座を一望できる結婚式場があります。天空レストランでは、和の食材を使ったフレンチを食べることが出来ます。
ギンザシックスが選んだ理由とは
ギンザシックスのコンセプトには“伝統と革新”があります。バリューマネジメントの重要文化財や歴史的建造物の新たな活用が共感されて選ばれました。
バリューマネジメントには、文化の発信と外国人観光客を取り込みたいと2つのオーダーがありました。
地域との接点をまず東京の中心地でつくりたい!気軽にいろいろな人たちが足を運べて来てみたら「文化に触れちゃった」と気づく場をつくりたいと思っています。
編集後記
「資源の再発見」が重要なテーマになりつつある。新しい商品開発が頭打ちだからというより、近代化以来、日本固有の資源に目を向ける余裕・能力・意図が不足し、欧米先進国に「追いつき、追い越せ」という大きなテーマがあったからではないだろうか。
「再発見」には、外部の視点が不可欠だ。さらに文化財の再生・再利用に関しては、複雑なスキームが必要で、他力野さんは、自らが歴史好きという個性を活かしながら、過去の遺産を現代に蘇らせつつある。歴史的建造物が持つ物語に、新しい章を書き加えている。
歴史への新しい一章・・・村上龍・・・
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