南の島の格安リゾートの旅を実現した「バニラ・エア」は、成田から奄美大島までを5,840円で繋いでいます。
バニラ・エアは奄美大島に年間10万人を送り込み、その経済効果は42憶円とも言われています。
2013年に運行を開始したバニラ・エアを生み出したのが全日空です。カンブリア宮殿では、全日本空輸“篠辺修(しのべおさむ)”社長が登場しました。
奄美大島へ格安ツアー
バニラ・エアを使った2泊3日のパッケージツアーは、航空券代と宿泊代とレンタカー代で約5万円で奄美大島に行くことが出来る格安ツアーです!
奄美大島ならではの遊び体験が出来ます。一番人気はカヌーツアーです!マングローブの原生林をカヌーに乗って楽しみます。
モーターパラグライダーは、エメラルドグリーンの海を見下ろすことが出来ます。
全日空の歴史とは
全日空のルーツは、日本ヘリコプターという会社からです。農薬散布や資材輸送を業務としていました。
1958年に極東航空と合併して『全日本空輸』が誕生しました。その当時の国際線はJALしか飛べませんでした。
1986年には、規制緩和が行われて全日空も国際線に初進出します。初めての国際線は、東京とグァムを飛びました。
スターアライアンス
1999年にスターアライアンスに加盟します。海外の航空会社とグループを組み、共同運航することです。空席を減らすことが出来ます。
LCCが登場
Peach Aviation. / MIKI Yoshihito. (#mikiyoshihito)
2000年代になるとアジアでLCCが登場すると、航空会社は危機感を抱きます。篠辺さんだけは、チャンスなのではと思います。
例えばLCCを我々自身がつくれないだろうかとか、価格破壊の波に間に合うように具体的な絵をつくりたい!
2011年には、日本初の「ピーチ・アビエーション」を作ってしまいます。篠辺さんは、日本のLCCの海の親でもあります。
2013年には、「バニラ・エアー」も登場します。リゾート路線に特化したため、新たな客の掘り起こしに繋がりました。
JALに勝つことが目標ではない、世界を見渡して十分戦えて勝ち残って、将来の成長戦略がとれるようになるのが目的!
JALを追い抜いた
2015年に全日空は、国際線旅客数を816万人となりJALの808万人を引き離しました。LCCのような格安航空会社の活躍があったからです。
全日空のマイレージカードは、会員数が3000万人います。JALを追い抜く勢いで広がっています。
羽田・成田の新戦略
10月30日にアメリカ東海岸に乗り入れたことで、全日空の羽田国際化戦略が完成しました。日本各地から羽田を経て海外22都市に就航します。
国内の利用者にとって、ますます羽田が便利になりました。
乗り継ぎ客が8割増えた
成田空港では、発着便を14時~18時に集中させている。それは、朝のうちに北米を出発すれば夜にはアジア各地に付くことが出来るからです。
ゴールデンタイムに7割の便を集中させることで、成田経由の利便性を高めています。短い時間に乗り継ぎをするためにスタッフが誘導します。
地方活性化プロジェクト
全日空の「Tastes of JAPAN」は、地方の食材などを機内誌・機内ビデオでPRして国際線の機内食としても提供しています。
秋田をアピール
国際線ビジネスクラスでは、「オリジナル郷土料理・秋田」を提供しています。比内地鶏ときりたんぽを使っています。
国際線ファーストクラスでは、「比内地鶏玉子丼」を提供しています。これで日本に来る外国人に秋田の魅力をアピールしています。
広島をアピール
広島のソウルフード「ホルモンの天ぷら」は、全日空の機内誌に取り上げられてブームに火がつきました。
全日空は日本の航空会社です。日本の人口が増えないのは分かっている。そうすると国際線で成長しなければならない!
それは日本のお客に乗ってもらわなくていいという話ではない、少しでも日本が活性化すれば海外からも来るし、日本のお客も海外に行ける。
日本中を海外にうまく宣伝をしたい!あるいは日本中の人に日本にもいい所があると宣伝したい!
大企業病をどう防ぐ?
篠辺流の危機管理とは、部下と腹を割って話す事が必要で安全に関しては何を言ってもいい、言わないことの方が危険なのだそうです。
日本の企業は、上司に対しては自由にモノが言えないというのは往々にしてあります。それをグループ全体で言いたいことを言えるスペースを作っています。
整備でも社長になれるんだ!
飛行機会社の整備部門で装備品をバラバラにする世界を経験してきて、それが“強み”かどうか分からないけど私のやり方はそこから出てきた。
小さいことをきちんとやらないと大きいことはうまくいかない!
マネージメントに求めること外せないことは?
何が変わってはいけないと決めた瞬間ダメ、どれが変わらない方が良くてどれが変わった方がいいというのは、いつも変わっていくと思う。
できるだけ専門分野は長く変わらない方がいいと思いながら、時々は人事異動をして大きく変わるチャンスをつくってあげる。
部下の間違いを可とする社風が大事
大事なのは、もう1回確認して「大丈夫だった」とその行為が大事。指摘されたことが全部が正しいという前提を置くと指摘しずらい!
そこで疑問を解決するのが大事!
チャレンジャーであれ
新しいことにリスクがないわけがない!リスクをいかに最小化するか、「訳がわからないけどやる」ではなくて「リスク範囲はここまでだ」と誰かがどこかで押さえていればいい!
全体から見た時には、十分カバーできる体制があるから安心できる。それをやらないと成長はあり得ないし競争にも勝てない!
真似するよりは、される会社になりたい!
村上龍 編集後記
篠部さんは、駐機中の飛行機を見つめ、「元気でやっとるか」と笑顔を見せていた。
生き物みたいですね、と聞くと、「本当です、同じ機種でも1機ずつ違うんです」まるで我が子を語るようだった。
技術系なんだなと実感した。曖昧さは、許さない。合理性と論理性を重視する。
全日空は、売上、旅客収入で日本航空を超えたが、国内トップの座はゴールではなく、変化する世界の航空業界を見据えている。
「大企業病は、克服するのではなく、危機感を持って日々立ち向かうべきもの」全日空は、挑戦者であり続ける。
空を駆ける挑戦者・・・村上龍・・・
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