Hamburg steak / yoshimov
行列のできる老舗レストラン『つばめグリル』は、11時にオープンすると200席の店内は、お客さんで埋めつくされます。
お客さんのお目当ては、「つばめ風バンブルグステーキ」です。国産の合い挽き肉を使ったハンバーグとビーフシチューをアルミホイルで包んだ斬新なメニューです!
8月25日(木)の「カンブリア宮殿」では、『つばめグリル』の3代目社長の“石倉悠吉(いしくらゆうきち)”さんが登場しました!
手作りのこだわり つばめセントラルキッチン
『つばめグリル』は、首都圏に24店舗あります。社員の数は205人で、年商は57憶円の企業です。
石倉社長の大切にしているものは、“美味しさに正直であること”です。その象徴ともいえるのが、あえて都心に置いた「つばめセントラルキッチン」です。
「つばめセントラルキッチン」は、各店舗のスタッフが交代で勤務しています。料理人がプロの技で食材を仕込んでいます。
「つばめセントラルキッチン」から約1時間圏内に『つばめグリル』の店舗があります。美味しさを保つために出店エリアを絞っています。
店舗を増やさないと社員の生活を担っていけない、飲食店は多店化すると潰れると言われています。
なんで大きくすると味がまずくなってしまうんだろう、他の産業では会社が大きくなれば商品の精度が上がっている。
それであれば、店を増やしながら味を追求する道があるのではと、店が増えるメリットは何だろうと考えて、最初に取り組んだのが作る量が増えると工程を分けることができる。その責任を持たせることが出来る。
必然的にコックが必要だった!
料理の場合、仕上げだけをやるコックは実際にはあり得ない!味を直すときに元が分からなかったら直しようがない!
仕込みから最後までやるのがベストだが勤務時間や効率の問題があるから、週に1回セントラルキッチンで勤務して、そこで仕込みを学んでいく。
ハンブルグの肉
ハンブルグの肉は、お店でミンチにしやすいように8cm角にカットします。1日に800kg以上の肉を仕込みます。
お客さんの“旨い、”に正直に向き合うため、冷凍保存はしません!
自家製ソーセージ
本場ドイツのソーセージを手作りしています。毎日使う分だけ仕込んで、お客さんには作りたての味を提供しています。
自家製ベーコン
自家製でベーコンも作っています。市販のベーコンにはない、アクセントや香り、旨味を出すには手作りが一番です。
塩漬け5日、燻製1日、熟成1ヶ月かかる自家製ベーコンは、いちばん美味しい状態で提供するために手作りしています。
なぜそこまでこだわるのか?
“自然の味を生かす<ということは、収穫から調理までの時間を短くすることが大切、時間軸がすごく大きい
自家製マヨネーズ
お店では、卵・酢・油を混ぜてマヨネーズを手作りしています。鮮度が美味しさに直結するから、作り置きはしません!毎日手作りしています。風味がちがいます!
なぜマヨネーズを手作りするのか?
“爽やかな後味”というのは、付け合わせまで含めて食べる物の中に1つでも基準から外れたものが混ざっていると、料理全体がダメになってしまう。
つばめグリルで提供する食材を自家製にすれば“時間”をコントロールできる。
毎日必ず試食する
『つばめグリル』では、毎日必ず“朝の試食”をします。仕入れる肉は、いつも同じではないし下味の具合も違ってくるからです。
美味しさのために手間ひまを惜しまない、これが“正直経営”なんです。
正直経営というのは“長続きの源”だと思っている。正直にすることが時代を超えることにつながっていく。
お店を100店舗作るより、100年続く店を作りたい!
つばめグリル 人気メニューベスト3
第1位 つばめ風ハンブルグステーキ 1,426円 定番のハンブルグステーキです。48年間続く大ヒット商品です。多い日で1日8000食売ります。
第2位 和風ハンブルグステーキ 1,253円 羅臼昆布と枕崎のかつをぶしでさっぱりとした味です。
第3位 ジャーマンハンブルグステーキ 1,199円 目玉焼きがアクセントのハンブルグステーキです。
つばめグリルの歴史
『つばめグリル』は、1930年に新橋駅内に食堂として開業したのが始まりです。1946年に銀座1丁目に移転します。復興から高度成長の時代に人気店になりました。
1960年代になると不景気になり売り上げは落ち込みます。2代目は、“お店を辞める”と言いだします。
3代目の石倉社長は、再建へと動き出します。始めに目を付けたのは“ハンバーグ”です。効率を重視するため、作り置きをして翌日に温め直すやり方をします。
銀座の仲間に恥じない正直な商い
創業から142年続く老舗カバン店の「銀座タニザワ」は、天皇陛下がご成婚の時にカバン一式を作って納めたこともあります。
自分のやり方に、どこか納得していない石倉社長はランチに訪れた谷澤さんに聞きます。“どうしたらタニザワさんのような老舗になれるんですか?”
“銀座の旦那衆は、お互いを知り尽くしている仲間なんだ。そんな仲間に恥ずかしくない正直な商いをしようという思いが銀座の老舗を支えてきたんだよ”
絶品ハンブルグステーキが誕生した
「ハンブルグステーキ」は、4時間以内に使用できる量のみだけ挽き肉にしています。
肉はミンチすると空気に触れる面積が増えて、劣化が早くなります。鮮度が落ちないようにできるだけギリギリに挽いています。
お客さんには、挽き肉にした量と時間まで公開しています。どんなに忙しくても手間ひまかけて作る“ハンバーグ”へと生まれ変わりました!
駅ナカグルメ エキュート東京は人材育成の場
東京駅の中にある「エキュート東京」は、全国各地のお弁当が並んでいます。『つばめグリル』もお店を出しています。
惣菜店という新業態に進出しました。いちばん人気のお弁当が“ハンブルグステーキ弁当”1,030円です。
「つばめグリルDELI」は、人材育成の場でもあります。レストランでは見ることが出来ない、お客さんの笑顔だったり“美味しそう”という声が直接聞くことが出来ます。
レストランの場合は、サービスや空間を含めて商品だが惣菜や弁当の店は隣の店のハンバーグと食べ比べができる。商品力を磨き続けるためには、そういう窓口を持っていなければと思い出店した。
つばめの看板だけではダメだ!社員の言葉に驚愕する、どうしたらそんな社員が育つのか?
世間常識や世の中の流れなどを“向上会”と称して月に1回、40年続けている。
“効率が悪い”に“最善”がある
岐路に立ったときには、“大変な道”を選んだ方が間違いないと教わった。
【#ハンブルグステーキ!】86年の歴史をもつ老舗 #つばめグリル。手作りにこだわった弁当・惣菜を #東京駅 で購入・ご家庭でも!看板商品「つばめ風ハンブルグステーキ」(780円)をはじめ、今日は老舗の“本物の味”を楽しみませんか? pic.twitter.com/cho1Al9FRn
— エキュート東京 (@ecute_tokyo) 2016年8月26日
生産者とも正直に向き合う
『つばめグリル』は、生産者とも2人3脚で良い食材作りにも取り組んでいます。宮崎県都城市にある坂元さんの牧場では、黒毛和牛200頭を育てています。
この道40年のベテランが作る上質な肉に惚れこんで取引するようになりました。生産者には、納入された牛の評価を出して次に活かしてもらいます。
生産者の名前は、お店に来るお客さんにも分かるようになっています。この正直さが『つばめグリル』を支えています。
村上龍 編集後記
九州から上京し、はじめて銀座に行ったとき、まったく馴染めなかった。よそよそしさを感じた。
だが、石倉さんの話を聞いてイメージが変わった。老舗経営者たちは、良い環境の中、礼儀を学び、努力を惜しまない。
現座で成長した「つばめグリル」だが、その「嘘のないビジネス」という理念は、研鑽を経て本物の料理を生み、多くの客に愛されている。
「おいしさ」は、希少食材を使い、凝りに凝って提供されるものではない。素材へのリスペクトが感じられ、毎日食べても飽きないし、いつ食べても納得できる、それが、真の「おいしさ」である。
素材を活かす、真のおいしさ・・・村上龍・・・
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