デュヌ・ラルテ 表参道本店 / Sig.
東京では海外の有名なパン屋さんが続々と進出しています。「メゾン・ランドゥメンヌ東京」は、フランス・パリの名店で海外1号店になりました。
「デュ・パン・エ・デジデ」は、オーガニックの小麦で作ったパンは噛みごたえを楽しめます。「マヨルカ」はスペイン生まれ、支店を出すのは日本が初めてです。
カンブリア宮殿では、日本のパン屋さんにスポットを当てました。『おかやま工房リエゾン』の河上祐隆(かわかみつねたか)さんが登場!
おかやま工房 リエゾン
『おかやま工房 リエゾン』は、岡山県で売り上げトップのパン屋さんです。リエゾンとは、絆と言う意味を持ちます。
店内には85種類のパンが並びます。ヨーロッパ生まれのクロワッサンや昔懐かしいクリームパンなど、揚げたてのカレーパンは1日1000コを販売します。
潮やバターの味は控えめにして小麦の味が引き立ちます。パン生地には添加物が入っていません!小麦粉の種類や水の量を工夫して作っています。
“素朴な味で飽きが来ないところが好き、だから毎日食べても大丈夫”とお客さんが言うほどの絶品パン屋さんです。
リエゾン・プロジェクトとは
「リエゾン・プロジェクト」とは、未経験者にパン作りを教えて開業をサポートするものです。短期間でパン屋をオープンできるシステムです。
無添加パンの作り方をわずか5日間で学びます。その後コンサルティング、開業直前サポート、開業、アフターフォローへと進みます。
ラ・スリーズ
東京の杉並にある「ラ・スリーズ」は、リエゾン・プロジェクトの卒業生です。わずか3坪のお店の中は地元の人で賑わっています。
一番人気のクロワッサンは140円です。多い日は100コ以上も売れます。他のお店のクロワッサンは食べられないと言われるほどです。
オーナーの櫻木幸人さんは、5年前に脱サラしてパン屋を開業しました。
河上さんは生粋の職人で彼が30年の経験で考え抜いたシステムを5日間に集約して私に教えてくれた。10年の研鑽を積まなくてもパンが作れた。
ぱんや107
愛媛県の伊予市にある「ぱんや107」は、古民家を改装したパン屋さんです。過疎の町に出来たパン屋さんに“焼き立てパンを食べられるなんて幸せ”とお客さんは言います。
オーナーの伊藤洋一さんは、家族6人で東京から移住してきました。街にパン屋がないことを知りリエゾン・プロジェクトの研修を受けて店を開きました。
全国のパン屋の助っ人
パン屋 (bakery) / yellow_bird_woodstock
リエゾン・プロジェクトの開業したパン屋は、北海道から沖縄まで120店舗以上あります。すごい勢いで増えています。
パン業界は高齢のためや後継者がいないため廃業するお店が増えています。その数はピーク時の1/3にまで減ってしまいました。
職人にならないとパン屋ができないというのが当たり前の常識になっている。リエゾン・プロジェクトを知ったらパン屋をする人がいっぱいいると思う。
パン屋の日本全国においての復活に絶対につながると思っている。
パンでは地域の活性化になるか
長野県の松川町は、人口1万3000人ほどの町です。そこにパン屋は2軒しかありません!河上さんは、「社会福祉法人アンサンブル会」に向かいました。
社会福祉法人アンサンブル会は、知的障碍者に働く場をつくり自立を支える団体です。そこで焼きたてのパンを販売したいと希望がありました。
スタッフの塩澤さんがリエゾン・プロジェクトの研修を受けることになりました。5日間の研修の費用は10万円です。
5日間のマスターレシピ
5日間でマスターするための様々な工夫があります。小麦粉は試行錯誤して5種類の国産小麦をブレンドして全てのパンを作ることができるオリジナル小麦を作りました。
生地を膨らませる酵母を準備、米と麹でゆっくりと育てた天然酵母です。添加物を入れなくても美味しい生地が作れるように水の量やこねる時間に独自の工夫があります。
この研修で学ぶパンは15種類です。クロワッサンやメロンパン、食パンなどです。地域や季節に関係なく安定して売れる物の絞っています。
種類を絞って、それを集中的に練習する方が技が早く身に付くのです。
パンのレシピは数値化してあります。パンの重さや長さを計ることで初心者でも失敗がしないのです。
室温は25℃に設定にすることで季節に関係なく同じパンが作れます。
大手のパンとの違いとは
大手が作っているパンは、香りが強いマーガリンなどを使うので特徴は出ます。バターや卵、生地に生クリームを入れたり糖分を増やしたりします。
甘くするとパンは美味しい、でも毎日は食べることは出来ない!河上さんが目指すものは、毎日でも売れ続けるパンであり、お客様に飽きられないパンを作ることです。
パン業界にいて非常に悔しい、おいしいパンを食べたい人はたくさんいるのに供給できていない。
町にはもともとおいしいパン屋が地域密着してお客のコミュニティーにもなっていた。
それが減り続けるだろうという中で、また「おいしいパンを食べたい」と思った時にすぐに近所にある。
これは理想というか夢だが、そういうふうに日本のパン屋を増やしたい!
パン職人から経営者へ
河上さんは、1962年に大阪市で父親が洋品店を経営している家に生まれました。有名進学校に進学するが父親の事業の失敗で大学進学を諦めました。
生活のために大手のベーカリーに就職します。22歳で独立して開業資金1,400万円は借金しました。早朝から深夜まで働くのが当たり前の日々が続きます。
そんな河上さんに7歳上の奥さんは“働き方を変えてみたら?”と言われます。そうしてパン職人としてではなく経営者になっていきます。
新たな若手育成法とは
1996年に子供の喘息の療養のため、岡山に移転します。経験と勘にたよってきた職人からの脱皮を図ります。
マニュアル作成をしてリエゾン・プロジェクトの土台を作ります。マニュアルはお店でも活かされています。
新人を早く育成するために、工房を7つに分けて集中的に作ることで技術が早く身に付くのです。それぞれの工房に新人が配属されても1~2ヵ月で仕事は出来るようになります。
おかやま工房 社員総会
おかやま工房は、今では年商6憶円になりました。社員数は40人、若手が多くいます。独立したいというスタッフには支援します。
日本のふわふわパン
欧米に比べて日本のパンは柔らかいと言われます。理由は水が軟水なのと日本人がモチモチとした食感を好むからと言われています。
リエゾン・プロジェクトは、インドネシア7店舗・中国3店舗・マレーシア1店舗と海外にも展開しています。
インドでカレーパンを売る
パン屋開業の依頼があれば海外でも飛んでいきます。ラフル・デオさんはインドの大手IT企業の社員でした。日本に駐在中に食べたパンに感動して脱サラしました。
リエゾン・プロジェクトの研修を受けました。故郷インドで日本式のパン屋を開くのが夢です。試食会では、塩パンやメロンパン、クルミパンなど日本の人気パンを並べます。
カレーパンは圧倒的な人気がありました。
添加物のないおいしいパン屋として広めたい、日本のようなミニベーカリーにしていきたい・・・デオさん・・・
来年にはカレーパンを目玉にしたパン屋をオープンさせる予定です。
町のパン屋が生き残るには
町のパン屋さんが生き残るには、楽しく働ける仕組みが必要です。“パン屋さんで働いて楽しいな”とか“パン屋さんを経営して楽しいな”という気持ちが大切です。
河上さんは、そういう人が開業していったらいいと思っています。おかやま工房の社員で独立したのは50人になります。何だか考え方がカッコイイです!
編集後記
苦労して名を成した職人は、「簡単に真髄がわかってたまるか」そう思いがちだ。河上さんは違う。
休日なし、睡眠時間3時間、恐ろしく過酷な環境で修業したのに、執着も郷愁もなく、「5日間でパン職人に」というアカデミーを創設した。
「時代も違うし、機械・機材も進歩してますから」あっさりと言う。きっと「苦労」はしていないのだろう。
大変だったに違いないが、ワクワクすることも多く、たぶん「苦」だはなかった。そのクールで民主的な姿勢が、「毎日食べても飽きないパン」を支えている。
クールな姿勢、飽きないパン・・・村上龍・・・
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