アラ!とごはんですよが並んで売られてるのは中部ならでは? / naota
『桃屋』が扱っている商品は37品しかありません!大正時代に創業した会社にしては少なく感じます。
37品の商品のうち、18品は大正・昭和のロングセラー商品です。2015年の売り上げは114憶円!そんな『桃屋』のロングセラーのヒミツとは?
桃屋の目指している良品質主義とは
桃屋は、伝統的な作り方を大事に手抜きせずに作っています。それを瓶に詰めてお客様に提供しています。それが“良品質主義”の特徴です。
桃屋の小出社長は“徹底的に品質にこだわれば、結果ロングセラーになる”と言います。桃屋の良品質主義から生まれた商品とは?
味付搾菜(あじつけざーさい)
昭和43年に作られた商品「味付搾菜」は、発売から48年たっても変わらない味を保っています。コクがあってまろやか、淡白な物を引き立ててくれる味と人気があります。
中国は広東省に工場があります。工場の中には、5000コはの甕(かめ)が並んでいます。甕のまわりには、輸送するときに破損しないように竹のヒモが付いています。
搾菜は、香辛料を入れてから1年くらい発酵熟成させて作られています。中国は重慶でしか“よい搾菜”は育ちません!
畑から収穫したら、木つるして2週間風干しします。これをすることで歯ごたえのある肉質になります。味付けは、漢方薬にも使われる香辛料を10数種使います。
たっぷりと混ぜ合わせたら甕の中に押し込みます。木の棒で押し込みことを中国では“搾(ざー)”と呼び、野菜の菜をとって搾菜になりました。
甕から出された搾菜は、香辛料を洗い流して油で炒めたらビン詰めされます。発売当初から作り方を変えたことがありません!
ごはんですよ
「ごはんですよ」は、桃屋でいちばん売れている商品です。その原料となるのりは、三重県伊勢湾で養殖されています。
松坂工場に“ヒトエグサ”というのりが届けられます。ここでは、のりを水洗いして異物を取り除く作業が行われます。
さらに手作業で異物を取り除かれます。異物があることで炊いたに柔らかくならないからです。
キレイになった“ヒチエグサ”は、別の工場で「ごはんですよ」が作られます。
誰でも簡単に作れるものは作らない!他社がやりたがらないことをやることで、他にないおいしさができると思っている・・・小出社長・・・
穂先メンマ やわらぎ
「穂先メンマ やわらぎ」は、山の奥深くにある柔らかいタケノコを収穫して作ります。蒸してから乳酸発酵して、天日干しにします。
山の奥の方に、かごをしょって収穫するという手間がかかっています。
本当にいいものを商品化する精神
『桃屋』は、1920年(大正9年)に創業しましたた。はじめて作った商品「鯛みそ」「でんぶ」「桜花漬」は、今も現役であります。
老舗の企業にしては、商品が少ないのには理由がありました。
おいしさの水準を満たす商品を作るには、本当にいい原料を探しあてるとか、すごく時間がかかります。なかなかしょっちゅう商品を出すわけにはいかないという事があります!
お客様に出すには、本当にいいものを出さないといけないと思っています。数や料を出すよりも、いいもの選りすぐったものを商品化するという精神でやっています。
桃屋の真髄 砂糖がないなら作らない
塩漬けしたらっきょうしかない時に、奥さんや子供が食べられるように甘酢つけにして作られたのが「花らっきょう」です。
競合他社が花らっきょうを真似て作り始ました。戦争中になると砂糖が入ってこなくて、他社は“サッカリン”で作りました。
でも、桃屋だけは“砂糖がないなら、花らっきょうは作らない!”と製造を中止しました。それが桃屋の本質を表すようなエピソードです。
商品化までの道のり
『桃屋』の新商品を発売するには高いハードルがあります。先代の社長である「小出孝之相談役」のOKが出ないと商品化にはなりません!
商品化の基準となるのは、いったいどんなところなのだろうか?
自分が食べたいものを作る、どこかで拾ってきたりするよりも自分で食べたいと思うものを考え出す・・・小出相談役・・・
小出相談役は、子供の頃に両親と一緒に中華料理店に行きました。そこで食べた搾菜が忘れられなくて、やっと見つけて搾菜の作り方を教えてもらいました。
そうして出来たのが桃屋の「味付け搾菜」です。あまり知られていない商品であったため、はじめは売れませんでした。
そこで考えたのが、その頃に流行っていた映画“007”のパロディーCMを作ってから売れ出しました。搾菜は、桃屋によって日本の食文化のひとつになりました。
搾菜のヒットにより、小出相談役は“日本の食卓にない物を作ろう”と決めました!
桃屋の商品は、ネーミングも面白くて一度知ったら忘れないような言葉を使っています。これも小出相談役の案なのだそうです。
2年ぶりの新商品 トムヤムクンの素
2年ぶりの新商品「トムヤムクンの素」は、15年くらい前から提案して粘って商品化したものです。
簡単にできない商品を作ること、本物を作ることだと小出相談役は言います。
小出孝之の経営理論とは
桃屋ヒット商品を生み出した小出孝之相談役は、ネーミングや商品を作る発想などクリエイティブな面が多く見られる。そんな発想と会社の経営とのバランスをさせるのは簡単ではないのではないか?
「適正規模の経営をする」と言い、むやみに規模を求めない!いい原料というのは限りがある、そんなにたくさん世の中にはない!
むやみに規模を広げてしまうと、ちゃんとお客様に提供できない!
もちろん成長は目指している、量より質である・・・と先代は言います。
桃屋商品で簡単レシピ
桃屋では、“もっとたくさんの人に桃屋を知ってもらいたい”という思いからレシピに力を入れています。それを考えたのは、小出社長の奥さんなんです。
小さい頃から食卓に並ぶ桃屋の商品を使っておいしいレシピ出来上ります。ごはんですよを使ったチャーハンやないかの塩辛を使ったパスタなど、どれも美味しそうです!
桃屋のホームページを見てみると、たくさんのレシピがのっています。桃屋の商品には、しっかり味がついているから料理が苦手な人も簡単です!
時短レシピが流行っている今、主婦の助けになるレシピばかりが並んでいます。
村上龍 編集後記
あまりにないなじみ深いために、この企業がいかに努力を重ね、すばらしい商品を作っているのか、気付きにくい場合がある。
「ごはんですよ!」を知らない日本人はたぶんいない。経営理念は「良品質主義」、文字数はたった5つだが、創業時から徹底して守られてきた。
商品はすべて食材としても使用できるベーシックなもので、生み出されるレシピはおそらく無限だと思う。こんな食品は、他にない。
創業以来、素材と製法において、決して妥協しない「桃屋」は、伝統を守りながら、進化し続ける。
桃屋、本当に「すごいですよ!」 村上龍
コメント