カンブリア宮殿|知られざる八海山の逆襲劇!日本酒が知りたいなら「魚沼の里」に行く理由とは

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八海山
八海山 / junyaogura

新潟県の南魚沼市にる「魚沼の里」は、酒粕を使ったうどんや日本酒バウムクーヘンなど美しい自然の中を歩きながら様々な味に出会える場所です。

カンブリア宮殿では、八海山のふもとで作られる淡麗辛口の『八海醸造』にスポットを当てました。3代目社長の南雲二郎さんが登場しました!

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日本酒造り技術力とは

1980年代の全国的に地酒ブームがあったとき、南魚沼産の銘酒「八海山」が店頭に並びました。今でも淡麗辛口で定番の日本酒として親しまれています。

日本酒の市場が減っている中で、八海醸造は売り上げをあげています。その理由は、手間ひまかけて作った日本酒作りのノウハウにありました。

八海山の作り方

八海山は“雪解け水”を使って作られています。酒作りはアルカリ分が少ないまろやかな軟水を直接引いて米を洗うところから始まります。

美味しい水で蒸しあげて酒米に種麹を振りかけて麹づくりをします。わずかな温度調整をするため、蒸米を動かしていきます。

約50時間かけて米に麹菌を定着させます。酒蔵の生命線でもある米麹を作り上げていきます。そこから発酵工程に入ります。完成までに40日以上かけて日本酒を作り出します。

麹だけでつくったあまさけ

「麹だけでつくったあまさけ」は、酒を造る前の米麹を使って製造しています。一般的な“あまさけ”は酒を絞ったあとの酒かすを使います。そこがちがいます!

現在の工場では製造が追いつかず、来年6月には甘酒専用の新工場が稼働する予定です。売れまくっている商品です。

八海醸造には、日本酒造りで培ってきた麹などの甘みを自由にコントロールできる技術力あります。その力がヒットを生み出しました。

八海山・千年こうじや

Hakkaisan Tokubetsu Junmai
Hakkaisan Tokubetsu Junmai / takuki

コレド室町にある「八海山・千年こうじや」は、八海山の麹や発酵技術を生かした商品を販売しています。麹のしょうゆや塩麹だれ、にしんの麹漬けなどです。

一番人気は“塩麹漬け もちぶた”、塩麹で漬けたおもちのような歯ごたえのもちぶたを自宅で楽しめます。

八海山の酒造りで生まれる上質な麹が、様々な素材の旨味をより引き出してくれます。

“酒の實 バウムクーヘン”は、酒かすを裏ごしてケーキの生地の中に入れてあります。しっとり感バツグンのバウムクーヘンです。

セミナーを開催

「八海山・千年こうじや」では、東京で年150回セミナーを実施しています。千年こうじやの商品で作る簡単メニューを教えてくれます。

八海山の塩麹を混ぜ込むことで卵の旨味を引き出した“きのこオムレツ”や甘酒を調味料として使った“さわらの照り焼き”、甘酒仕立ての“スイートポテト”などです。

簡単にできるレシピばかりで、若い女性のリピーターが多いんです。八海山のアピールも大きな目的になっています。

八海醸造の商品

南雲さんは日本酒が低迷する中で、酒造りで培った技術で様々な商品を開発してきました。今では、売上げの2割を清酒以外で支えています。

一般的に知られているのは、“塩麹だれ”や“麹ぽん酢”などのドレッシング類と料理が美味しくなる“塩こうじ”や“醤油こうじ”などです。

新しい商品として、魚や肉の麹漬けや味噌漬けと奈良漬けなどです。多種多様なものに加工できるのが日本酒造りの基になっている米・麹・発酵にあります。

八海山の独自戦略とは

今一番人気の日本酒といえば旭酒造の「獺祭」です。原料となる精米を20%になるまで磨き上げているのが特徴です。雑味を取り除くことでワインみたいな日本酒が出来上がります。

日本酒のイベントで注目されていたのは若駒酒造の「若駒」です。精米を約80%磨いて甘みのある濃厚な日本酒が特徴です。このように個性を主張する日本酒が全盛期です。

八海山の精米は60%で甘みがほのかに香程度にしています。発酵もゆっくりと低温で複雑な味わいが出るのを抑えています。

日本酒というのは食事をしながら飲むもの、気付かないうちに飲んでしまうものを食中酒と言う。食事をしながらついつい飲んでしまうもの。

個性の強い酒で支持を得るのではなく、日常的な食事と一緒に気軽に楽しんでもらうことでファンを増やす。これが八海山の戦略です!

安くていい酒!八海山のヒミツ

「八海醸造」は、1922年に南雲さんの祖父である南雲浩一さんが創業しました。地元の客に親しまれる酒蔵として成長してきました。

1980年代の地酒ブームの時に南雲さんは3代目として入社します。東京の居酒屋で見た八海山の値段に驚愕します。地酒ブームのため品薄になり価格は高騰してしまいました。

ハイテクと職人技のハイブリッド

いつも飲んでくれる客にちゃんとお酒を届ける。そのために“大量生産でも味を犠牲にしない”をコンセプトにした八海醸造第二浩和蔵を作りました。

全自動で洗米機で米を洗い、手作業で行っていた水に浸す作業を機械が行っています。蒸しあげた米は、手作業で麹作りに入ります。

年間数百万本の日本酒が製造される設備で麹造りを人の手で行う蔵はありません!八海山では、大量生産でも味を落とさないため手作業が必要なところは大切にしています。

 負けない酒蔵の地元戦略

魚沼の良さを伝える雑誌「魚沼へ」は、創刊から13年魚沼の隠れた資源を守る普通の人々の笑顔を残してきました。

日本酒メーカーというのは非常に地域性の高いものなので、お酒を飲んだ人はその場所を想像すると思う。情報量が多いほど商品に親しんでもらえる。

そういう意味で魚沼に来てもらうのが一番生の情報としては濃い。地域貢献をしなければ会社の発展はない!

編集後記

「八海山」は飽きない。「どうだ、うまいだろう」という奢りも、媚もない。製造には最新の注意が払われ、どの工程にも妥協がない。

小説とにている。飽きないで最後まで読んで欲しい。そう思うと、一行一句手を抜けない。

「八海山」は、酒と言えば灘、伏見という時代に、新潟の、周囲を山々に囲まれた辺鄙な町で誕生した。だが名声や伝統と無縁だったからこそ、常に進化への希求があった。

淡麗でありながら、しっかりした味がある「八海山」、飲むたびに「いい酒だな」と思う。造り手の気概が伝わってくる。

品格が漂う銘酒・・・村上龍・・・

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